上咽頭がんとは

上咽頭がんとは、上咽頭に悪性腫瘍ができる病気です。
日本ではあまり見られない疾患ですが、中国や東南アジアでは、発症する人が数多くいます。

30歳〜70歳の男性に多く見られるがんであり、他の部位に発生するがんに比べて、若年層にも発症が多くなっています。
低分化型扁平上皮がん、未分化がんが多く、初期状態から転移しやすい、という特徴があります。
また、肺や肝臓、骨などに遠隔転移する可能性も高くなっています。

生存率は全体で約40〜50パーセント、初期状態では約90パーセントありますが、末期になると約30パーセントに減ってしまいます。

上咽頭がんの原因には、EBウイルスの関与などが考えられていますが、現代の医学ではまだ完全に解明されていません。

上咽頭がんの症状

上咽頭がんは初期に自覚症状がほとんど無いため、がんが見つかった時にはかなり進行している可能性があります。

初期症状では頸部リンパ節へ転移して首に腫れ物ができます。
首に腫れ物ができると、患者さんは耳鼻咽喉科ではなく内科や外科を受診してしまうため、診断が遅れる原因にもなっています。
そのため、首に腫れ物(頸部腫瘤)ができた場合は、必ず耳鼻咽喉科のお医者さんを受診しましょう。

他の症状としては耳管が開かなくなり、中耳の気圧調整ができないため、中耳に滲出液が溜まり「滲出性中耳炎」になります。
また、耳鳴りが続いたり、難聴になる場合があります。

上咽頭がんが進行して大きくなると、鼻呼吸ができなくなったり、鼻づまりが続きます。
鼻をかんだときに鼻汁に血が混ざったり、鼻血が出る頻度も高くなります。

さらに進行すると、がんが頭蓋骨を破壊して脳神経を刺激し、視神経に障害が起きたり、顔に痛みを感じるようになります。

上咽頭がんの診断

上咽頭がんの診断は鼻の穴からファイバースコープを挿入して観察します。
腫瘍性の病変があれば組織の一部を採取し、検査を行い診断します。

がんの進展や範囲を調べるためには、CTスキャン、MRIなどで画像を撮影し、診断するのが有効。
転移を調べるには、ガリウムシンチグラフィー(ラジオアイソトープを含んだ薬剤を注射して行う核医学検査)、FDG-PET(陽電子断層撮影)検査が行われます。

上咽頭がんの治療

上咽頭がんは手術で全てを摘出することは極めて困難です。

上咽頭がんは比較的、低分化がんが多いため放射線治療、抗がん剤の投与などの化学療法が効果的。
現在では主に放射線治療が行われていますが、抗がん剤を併用することにより、治療効果は格段に上がります。
これらの治療法は、病期に応じて変更したり、患者の状態を考慮したうえで選択されています。

また、頸部の転移リンパ節は治療をしても消失しないため、頸部郭清術という手術が行われる場合もあります。
この方法で手術を行えば、がん細胞を全て取り除くことは可能ですが、定期的に抗がん剤を投与する場合もあります。